2022年12月1日
一般社団法人社会調査支援機構チキラボ
所長 荻上チキ
この度、「宗教2世」という言葉が、新語・流行語大賞のトップテンに選ばれ、チキラボとして受賞することになりました。調査に協力してくださった当事者の皆様。アンケートの共有に協力してくださった皆様。そしてラボを支援してくださっている皆様に感謝申し上げます。
社会問題の調査と広報を支援するチキラボは、さまざまな当事者の声を可視化するために活動しています。「宗教2世」関連調査もまた、ただその実態を把握するためだけでなく、問題解決を進めるためにこそ行いました。そのため現在チキラボでは、調査報告書を各政党や国会議員に配布をし、政策議論に活用していただくよう、発信活動を続けております。
2022年の段階でこの言葉が注目された経緯は、全く喜ばしいことではありません。多くの問題に対し、社会の応答が不足していたこと。そして現時点でなお、その応答は不十分であること。その事実を歴史に残す意味でこそ、今回の受賞は語られるべきであると考えます。
おそらくこの場に、2世当事者の方が登壇すれば、その方に山のような反発や攻撃が向けられることが想像されます。それだけ今、発信活動を続けている2世当事者の方には、多くの負担がかかっています。これ以上、当事者を矢面に立たせずに済む社会。一括りには語りがたい2世体験や宗教体験と、丁寧に向き合う社会。そうした社会を目指すべく、言葉を紡いでいくことが必要であると考えています。
チキラボとしてはこれからも、できる限りの活動を続けて参ります。多様な声が集まった報告書。ニュースをきっかけに知ったという方も、ぜひこの機会に、ご覧いただければ幸いです。